さて。2016年の終わりに地方移住を決意した私たち。
それから実際に移住をするまでに半年もかからなかったわけですが、地方移住を決意したときには、具体的な候補地はいっさいありませんでした。
どうやって移住先を決めたのか、書きたいと思います。
2017年に東京から大分県竹田市に地方移住して、「暮らす実験室 IKI」というシェアハウスをやっている市原家。この連載では、ふつうの仕事人間だった私たちがどうやって移住にたどり着いたのかを、紹介していきます。
前提|地方移住というより引っ越し、気軽に考えてた
まずあるのは移住という言葉が流行ってて、伝わりやすいから移住という言葉を使っているだけで、私たちの感覚的には「引っ越し」でした。
同じ日本なのに、どうして都会から遠い田舎に引っ越すだけで「移住」という言葉になるのでしょう。住まいが変わるから?仕事が変わる可能性が高いから?
どんな引っ越しであっても変わる部分もあるし、変わらない部分もある。
何年かしたらまた引っ越そうなんて予定があるわけじゃないけど、人生リセットして、変えるぞ〜なんて重たい気分もない。東京からそうでない、もっと自然豊かで、空間的に余裕がある場所への「引っ越し」を考えていました。
だから、決めてから半年という期間で、移住=引っ越しを完了させたのも、特に早かったという感覚はありませんでした。
東京からの地方移住の情報収集先、まず押さえたい2つ
東京からその他の都市への移住の情報収集は、かなりやりやすいと思います。
今は、各地方自治体が、移住者へのPRをがんばっていて、東京にいながらも直接各県の担当者、各都市の方と話し、資料を受け取ることができます。
私たちがいったのは
(1)移住フェア JOIN
(2)有楽町のふるさと回帰支援センター
です。
移住を考える方には、ぜひぜひおすすめします。
(1)移住フェア JOIN
ちょうど、私たちが移住先を探し始めたのが1月。そして、毎年1月にやっているこのイベント。
東京ビックサイトに、400もの自治体が集合。
当然、各市町村の移住担当もいるし、移住者として移住のお手伝いをしている方、地域おこし協力隊として移住に関わっている方も多くきていました。
各エリアごとにブースが並んでいて、それぞれの色があって、まぁおもしろい。
私たちは夫婦とともに、当時2歳の長女ゆきも連れていたので、自治体としては「きてほしい存在」どんぴしゃ。
パンフレットや映像とともに、ていねいにマンツーマンでそれぞれの町の説明をしてくれました。
その中で私たちが魅力を感じたのは、高知、瀬戸内エリア、大分、鹿児島、宮崎、福岡でした。
自然の感じ、ひとの雰囲気がなんとなく好き。そして「あたたかそうなイメージ」。
もうこればっかりは、直感でしょう。
でも、あれだけたくさんのブースがあったから、そのなかでここが好きという場所を感じとることができたのだと思います。
行って損はなし!
ここで、特に印象的だった自治体を紹介しときましょう。
大分県豊後高田市|市長の牽引で「魅力的な街」に進化
大分県豊後高田市は、移住雑誌で住みたい街ランキング上位の常連です。
子育て支援、移住補助、移住に当たってのお試し住宅、定住のための住宅、医療補助まで、欲しい制度がこれでもかというほどそろっています。
それは、なんとな〜く実現したというより、もともと民間のビジネスマンだった前市長の戦略。
移住雑誌でのランキングの評価項目は、ちゃんと移住希望のユーザーニーズにかなっているものだから、高ランキングになるような制度を整えればランキングも高まるし、実際の移住希望者・移住者の満足度も高まるだろうと、ポイントを押さえ続けたんだとか。
そのほかにも、さびれた何にもない商店街を逆手にとって「昭和の町」と銘打ち観光地に変化させるなど、市長の牽引で町が変わった。市がまるで民間企業のように、目的と目標を持って、街を営んでいるようでした。
市の職員が「身内を褒めるのはなんだけど」と言う雰囲気で、遠慮気味に、でも誇りを持って語ってくれたのが印象的でした。
(その後の移住の下見旅行で、私たちは実際に豊後高田市を訪れました)
宮崎県延岡市|なんでもアウトドアで押しきる!
移住フェアJOINでは、どの自治体のブースにも、ある看板が出ています。
自治体名の下に「子育て 医療」(←ちょっと記憶があいまい)
と項目があり、それぞれ自己申告で○や×や△ができるようになってます。
でも、延岡市のブースでびっくり。
子育て アウトドア◎ 医療 自然◎ アウトドア天国 ◎ と自ら項目を変えて、高得点アピールをしているではありませんか!
(こんなのここだけ)
話を聞くと、ダイビング、サーフィン、シーカヤック、クライミング、山登りと、ほぼほぼ思い浮かぶアウトドアがぜんぶでき、それもどれも質が高いとのこと。
シホさん
大分県中津市耶馬渓
中津市からは移住者が数人来ていて、移住のリアルな話を教えてくれました。
印象的だったのは、中津の耶馬渓では、農協がもう数十年も前に有機農業宣言をして、農協として有機栽培に取り組んでいるという話。
ちょうどそこに、移住をして卵農家をしているという方がいて、素材にこだわったカフェがあるだとか、食べ物がどんなに美味しいかなど、しびれる話を聞けました。
シホさん
(2)有楽町交通会館のふるさと回帰支援センター
次に、行ったのは有楽町交通会館にあるふるさと回帰支援センター。
ここでは年に500回も移住についてのセミナーをしているんだとか。セミナーだけでなく、常設の各都道府県のブースがあって、常時話を聞くことができます。
10:00〜18:00
住所|東京都千代田区有楽町2-10-1東京交通会館8F
自治体によっていない時があるので事前に電話していくことをおすすめします
それぞれの自治体の特色を教えてくれたり、パンフレットをくれたり、直接自治体の移住担当の方とつないでくれたりと、至れりつくせり。
移住フェアと、このセンターでは得られる情報がちがっていたので、両方の話をきいてよかったと思います。
移住フェアで市町村の移住担当の方からは
よりリアルな情報、暮らしにもとづいた話がきける。PRというか、熱意のある話ができて、親しみを感じる。
有楽町での都道府県の担当の方からは
その県のなかでの、各市町村の客観的な特徴がわかる。子育てに力をいれている場所、歴史が魅力的な場所、いろんな補助が充実している場所、移住者の人数が多い場所など。
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私たちは、興味があるパンフレットをもらい、用意された各自治体のPRグッズももらい(ペンやタオル、シールに、お米まで!)、そして、担当の方の連絡先を手にしました。
旅行より、参考になる?
もう、この2つで、かなりの情報を得ることができました!
正直、それまで時々していた2泊3日での移住の下見旅行よりも、この移住の情報集めのほうが、よっぱど参考になりました(笑)
やっぱり、旅行は旅行。観光地に行くし、いろいろまわりたいし、時間はないし、おいしいものは食べたいし。
暮しという観点からの情報は得ようと思ってかんたんに得られるものじゃないし、地味で、観光的刺激は少ないのであとまわしになりがちだったなぁと。
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そして、こんなふうに情報収集をするなかで、私たちのなかで、移住する先の条件がみえてきました。