突然ですが「好きな蕎麦」ってどんな蕎麦ですか?
固め・柔め、細め太め、かつおだし・昆布出汁…いろんな好みがあるかと思います。
「心で打つ蕎麦」を打ちたいと語ってくれたのが、今月から、暮らす実験室 IKI に入居してくれたマーシーです。
「心で打つ?ハテナ?」と思うかもしれませんが、私は聞いてて、すっごくしっくりきたんです。
マーシーは蕎麦職人。
週に一度は湯布院の「原っぱカフェ」で、お蕎麦やさんをオープン。本格開業に向けて、奥さんのひとちゃんとともに修行をしています。
さっき「よかったら、少し余ったんで、蕎麦食べませんか?」と蕎麦をいただき、幸せな気分に浸り。
マーシーから「IKIに、うちの師匠を呼んで、蕎麦のイベントしませんか?」と提案をもらって、
「ぜひぜひぜひ!目の前で、自分たちのためだけに蕎麦を打ってもらえて、話しながら食べるなんて最高!」
とテンションが上がって、蕎麦談義に花が咲きました。
この秋か冬に、IKIにマーシーの蕎麦の師匠がきますよ!!!
いきなり、師匠の話に飛んでしまいましたが、その前にマーシーがどんな人なのか、「心で打つ蕎麦」ってどんなのなのかを紹介したいと思います。
まずは、マーシーの蕎麦を
「今日、急に寒くなってきたから」とあったかくして、とろろを乗っけて出してくれました。
う〜ん。お出汁も、美味しい〜〜〜〜。
麺が、汁になじんで。うま〜!
IKIのキッチンで…
お湯を沸かして、目の前で投入。
ゆでたてを…
ずるずる。
奥さんのひとちゃんも、ずるずる〜〜〜〜。
途中で柚子胡椒をプラスして…
う〜ん!美味しい!
(カメラを持ってるので、私が写ってませんが、同じくずるずるいただきました!)
そして、お惣菜も。
原っぱカフェでは、蕎麦とビュッフェ形式で野菜たっぷりのお惣菜も提供しています。これがその一部。
あ〜美味しかった。
の後は、ちょっくらインタビュータイムです。
マーシーと蕎麦の出会い
シホさん
マーシー:実は、前は農業をやってたんすよ。実家がある、岐阜で。そこで、どうせ農業をするなら、大好きな蕎麦を作って、そこで自分で打てたら楽しいなぁと。その時には、趣味で蕎麦も打ってたので。
シホさん
マーシー:作るだけなら、できるもんですよ。それは、蕎麦栽培してる人ならみんな言います。
実は、蕎麦は縄文時代からあるんです。それって12000年くらい前ってことですよ。
10年くらい前までは、蕎麦はせいぜい西暦になってから食べられるようになったと思われたんですけど、ある学者が、出雲で縄文時代の地層を調べてたら、蕎麦をすりつぶしたものを発見した。どう見ても、蕎麦的なものを、その時代から食べてたってこと。
ずっと古代から蕎麦を食べてる。日本の土地に合ってるんだと思うし、日本人がなんとなく蕎麦が好きな人が多いのは、古代の記憶が出てきてるのかも。
シホさん
マーシー:実は、農業が、全然合わなかったんですよね。それはそれはうまくいかない。
食べ物を作ってるはずなのに、食えない!!って状況で(笑)
自分は、それまで、親の言われたコースを歩んでたんですよね。自分で決めて何かやるってことが、その時に、初めてだった。それで、自分自身が足りないものだらけってことに気づいた。
やっててそもそも楽しくないし。続けてるうちに、縛られてやってることに気づいた。
じゃあ、何しようか。
あるいは、何もしないか。それはいけないな。
そうだな、蕎麦打ってたし、蕎麦打つのが好きだし。蕎麦を打とうか。
打ってみたら、これなら、本気で打てる。本気で打つことが、蕎麦だから。
これは自分のしょうにあってる。
2017年の10月から修行をはじめました。長野と石川で修行しました。
蕎麦を始めたら、次々に、いろんな縁が繋がって、今の奥さんとも、師匠達ともつながって。蕎麦がつないでくれてる。
「やばいやばいやばい。声かけないと、後悔する!」
シホさん
マーシー:大分で友達がするイベントをカフェに手伝いに来て、そこのカフェに勤めてたのが、彼女で。
もう見た瞬間からピーンときて、やばいやばいやばい、絶対この子は声かけないと後悔する!!って思って。
イベントの次の日に行って、連絡先を渡して、よければ連絡ください!って伝えて。で、連絡をくれた。
シホさん
マーシー:明日死んでもいいと思って生きてるから、後悔するようなことはしたくなくて。もう、きたーって思ったんで。
どんな蕎麦を打つか
シホさん
マーシー:自分は、あんまり器用な方じゃないんで、蕎麦一本で、常に毎日、全力で打つ!ってことですね。
プラスなんか自由な感じがいい。
どっちもが、支えあってる。
あんまり真剣になると、深刻になるじゃないですか。
だからって、気軽で楽しけりゃいいってもんじゃない。そのバランスというか、両立が大事なのかな、と。
「その人の本心から打ってるっていう蕎麦に惹かれます」
シホさん
マーシー:かっこつけてない蕎麦が好きですね。
江戸時代から歴史があるから、伝統とか、格式とか、型とかが、比較的多いものなんです。
そういうのもいいんですけど、それとは別に、自分は、その人の本心から打ってるっていう蕎麦に惹かれます。
自分の師匠はみんなそんな人っす。
長野の師匠は、合掌って店をしてる自分より5歳くらい歳上なだけなのに、すごい人で。
向上心がすごい。人見知りなのに、勉強会もどんどん行って勉強し続ける。
朝3時半に起きて、100人前打つ。こうやったらラクってことがわかってても、大変だけどこうやったら美味しいってわかったら、絶対、美味しい方を選ぶし。
シホさん
マーシー:石川の師匠は、唐変木っていう店をやってて、すげえ自由な人。生み出す力がすごくて。
蕎麦って、基本的には3つの流派があるんですよね。今はそっから派生して他にも出てきてるけど。
師匠は、そのどれともちがう。完全に我流。初めて食べて、なにこれ!?ってなって。
25歳くらいの時、自分の嫁さんのおばあちゃんが作った蕎麦を食べた。それは、自分の暮らしのために、蕎麦を栽培して打ったもの。それを食べて「俺の人生は蕎麦だ!」って思ってそっから50年、蕎麦一筋。
どっかに学びに行くんじゃなく、そのばあちゃんの蕎麦を、自分自身で追及してる。
はじめは蕎麦を教える人になったみたいだけど、それだけじゃ、楽しくないってなったんでしょうね。自分で店を出した。その店に自分は食べに行ったんです。
技術はもちろん、その人から受け取れる、心のすごいな〜っていうがみんなある。
味として好きな蕎麦っていうより、その人らしさが現れてる蕎麦が好き。よくわからないけど、優等生というより、この人の味は、本当にこれっていう。
その人っていうのは、この世に1人しか居ないじゃないですか。その人が現れてる蕎麦ってのが、あるんです。
シホさん
マーシー:大分でひとみに出会ったりと、いろんな縁があって、大分で蕎麦屋を開こうと決めて。もっと修行をしようと思った。
で、蕎麦と言えば、豊後高田だと。そこで、豊後高田の蕎麦屋を食べ歩いて。
師匠の店「ゆうひ」に行って、ここの蕎麦はいい!!!って思った。
周りからの評判がいいとか、食べログの評価がいいっていうのはいっぱいあるじゃないですか。本当、美味しい店っていっぱいあるんですよ。
でも、そうじゃなくて、自分が、「ん!!!ここ!!!」と思った。
自分が吸収したいものを持っているのは、ここだ。
初めて行ったその日に、バイト募集してるか聞いて、それがゴールデンウィーク前だったんですよね。ちょうど人手が欲しい時で、しかも蕎麦打てる人だったら最高で「え?蕎麦打てるの?」ってなって。もう、向こうもびっくりして、ぜひ!ってなって。今に至る感じです。
シホさん
マーシー:ほんとそうですね。
今は、細かいことは決めてないけど。
自分が蕎麦屋をやるってことだけは決めてる。
蕎麦の縁で、ここに来たし、ひとみにも出会えたし。
まだまだ、これから自分の蕎麦も変化するかもしれないし、同じものを極めていくかもしれない。
一つだけ変わらない自信があるのは、心で打つ蕎麦を追い求めるってこと。
マーシーの蕎麦、ここで食べれます
シホさん
マーシー:毎週水曜に、やってます。
メニューは、ざるそば、かけ、カボス蕎麦の温と冷。シンプル。
それと、ビュッフェスタイルで、お惣菜。
シホさん
マーシー:ドネーションスタイルなんです。お客さんが自分で料金を決めるっていうスタイルで。
シホさん
マーシー:自分も、最初はびっくりしたけど、オーナーの「価値を考えるきっかけ」を届けたいという意図はおもしろいなぁと。
自分自身も、こんなにもたくさんのものっているんだろうかと思ったりします。お金って豊かになる手段のはずが、お金が目的になってたりして、あれ、みたいな。
シホさん
マーシー:ぜひ、来てください!
豊後高田の師匠も、竹田で打ってみたいって言ってくれてるんで、ぜひここに呼びましょう。
目の前で打ってるのを見るだけで、感動しますよ。
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シホさん
原っぱカフェ
住所:大分県 由布市 湯布院町 川上1525-12
電話番号:0977-84-2621
営業時間:11:50~15:00 (ビュッフェの料理が無くなり次第終了となります)
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私たちのシェアハウス「暮らす実験室 IKI」での蕎麦イベントも、企画するので楽しみにしててくださいね〜。