さて具体的に、地方移住先を決める段階に入った私たち。
前回書いたように、400もの自治体が集まる移住フェアに行き、交通会館のふるさと回帰支援センターにも行き、大量のパンフレットを手に入れて、ある程度情報収集ができてきたら、「次は、絞る段階にきたな」と思いました。
そこで、夫婦会議。どうしよっか?移住先、どうやって決める?と。
正直、どこも魅力的だったんです。
そもそもが、自然豊かで、東京ではできない「創る暮らし」をしてみたい、保育園にも簡単に入れるような場所がいい、なんて考えからの地方移住って流れだったので、日本の田舎でそれに当てはまらない場所を探す方が大変。大きすぎる条件だったのです。
だから、あえて絞ろう、と。
そこで、最初に考えたのが、教育です。
2017年に東京から大分県竹田市に地方移住して、「暮らす実験室 IKI」というシェアハウスをやっている市原家。この連載では、ふつうの仕事人間だった私たちがどうやって移住にたどり着いたのかを、紹介していきます。
娘に魅力的な保育園・幼稚園・小学校がある場所は?
そもそも私たちみたいなフリーランスの親の子は、東京では、保育園に入るのがかなり難しいし、納得がいくところなんてなかなかない上に、めちゃくちゃ高いよね、っていうのが、地方移住を決意した「トリガー」でした。だから教育を基準に、移住先を探してみよう!というのが、最初の案でした。
でも、これは、あっという間に挫折。
当時、ゆきは2歳。小学校ばかりか、幼稚園にも入れない年齢。受け入れてくれるのは、保育園。
保育園って、基本的には、親が直接選べないので、そもそも個性が強いところは少ないですし、地元の人をターゲットにしているので、ネットに情報がほとんど出ていない!
かなり苦しい調査になったので、もういっか〜っとぽ〜んと投げてしまいました。
そもそも教育は、親の背中を見せることが一番大事だろう!ということで、自分たちが生き生き過ごせそうな場所を探そう、となりました。
地方移住先選びの条件5つ
そこで出てきたのがこの6つの条件。
(1)自然豊か
(2)海がある場所
(3)歴史・文化を感じさせる場所
(4)空港から近い
(5)最寄りの空港にLCCが通ってる
(6)あったかい
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それぞれ、補足しましょう。
(1)自然豊か
もちろん、そうですよね。
山あり、森あり、広い空あり。起きたら、窓の外に緑が広がってる。そんな場所がいいなぁと思ってました。
(2)海がある場所
海、好きなんです。あの圧倒的に遠い風景。思わず「無限」という言葉が思い浮かぶ波の輝き。
しかも、魚も好き。新鮮な魚を釣って、食べる。そんな生活したいなぁ〜と妄想。
(3)歴史・文化を感じさせる場所
田舎は好きだけれど、ロードサイドショップが並ぶ、地方都市の風景は好きではありませんでした。
東京にある歴史・文化がない場所ではなく、東京にない歴史・文化がある場所がいいなぁと。
(4)空港から近い
当時は、2ヶ月に一度くらい東京都と、移住先を行き来できたらいいな〜なんて思っていたので、空港から近い場所を希望していました。
空港から近いだけで、都市と都市の距離は近づきますからね。
(5)最寄りの空港からLCCが飛んでいる
LCCか、JAL/ANAかで料金、何倍ちがうでしょう。
夫婦二人だけならばいいけれど、子どもが増えたら、一度にかかる料金はさらに倍増します。
そして、それは私たちが利用する場合だけでなく、友達が私たちの移住先に遊びに来る時にも同じことが言えます。
気軽に、私たちの移住先に友達が遊びに来るといいなぁと思っていたので、この項目はかなり重視しました。
(6)あったかい
具体的に、冬でも何度以下!とか指定したわけじゃありませんでしたが、なんとな〜くあったかい場所がいいなと。
もちろんこれには、私が寒がりで、冷え性ということが大きいのですが、昔、中島らもというミュージシャン・小説家が「人間あったかいと、おもしろく、いい加減で、ゆるくなる」という話をしていて(うろ覚えですが)それが影響してる気がします。
寒くて、冬に雪に囲まれるような場所だと、のんきにタラタラやってると食料不足になるかもしれないし、サボったら雪で家が潰れたり、不注意で雪かき中に足を滑らして死んでしまったり、危機が近くにあるから、どうしても真面目になる。
対してあったかいと、食べ物が年中手に入りやすいから、ふざけることが許される。
私自身、いい加減で、ゆるく、おもしろいことが好きなので、あったかい場所へ、あったかい場所へ!と思ってた気がします。
関西人で、笑いが大好きってことも関係してるんでしょう。
6条件中3つは当てはまる場所がいっぱいある
さて、この6つの地方移住先を選ぶ条件と、集めてきた移住先の情報を照らし合わせてみると、この6つ中3つは、かなり多くの自治体が当てはまりそうでした。
(2)海がある
(3)歴史・文化を感じさせる
対して、この3項目ではずいぶん絞れます。
(5)最寄りの空港にLCCが通ってる
(6)あったかい
最初の地方移住先候補は、四国or九州
移住フェアJOINとふるさと回帰支援センターで集めた情報から、なんとなく移住先は四国か九州がいいなぁと考えてました。
四国は、新婚時代に行った高知県の印象が抜群によかった!食べ物が美味しくて、そしてお酒が美味しい。人が陽気。海がいい。
瀬戸内の風景も大好き。神戸生まれで瀬戸内海に面して育った私ですが、あの四国側の小さな島が点々とした風景は、神話の世界を想起させられ、なんだかたまらんものがありますよね。
ただ、四国にはLCCが運行する空港がなかった!まあ、関西へのアクセスは、車でもフェリーでもあるので、都市部への移動と考えると悪くないのですが、東京へと考えると遠いし、高い…。
まさしさんのお父さんとお母さんは東京に住んでいるし、友達も東京にたくさんいる。なら、選べるなら、LCCを使って移動できる場所がいい…となりました。
九州でLCCが発着するのは大分か鹿児島
そして九州を調べたところ。
大分空港からはジェットスターとソラシドエアーが。
鹿児島空港からは、ピーチエアラインが発着しているではありませんか。
大分も鹿児島も、海が豊かで、自然が豊かで、そして温泉がわんさかある!
大分は湯布院に別府…文化レベルが高い感じがするし。
鹿児島はせごどんでしょ!歴史あるっしょ!知覧の街並みとか、いいよね〜前行ったよ、大好きだったよ!桜島もどっか〜んだよね。
と、ノリノリに。
そういえば、私「いつか九州に住んでみたかった」んだ
それに私、実は、20歳の頃から「いつか九州に住んでみたい」と漠然と思ってたんでした。
大学時代のゼミの先生が、若い頃、九州に住んでいた話をしてくれたことがあったんです。
まず、豚肉が美味しいという話(多分、鹿児島だと思います)。塊肉をとろとろに煮込んで食べたって話。
(今思い起こすとなんじゃそりゃって感じなんですが、多分、当時私はお金のない大学生だったので、先生の話をそれはそれは多くのよだれとともにきいたのでしょう)
あと、人と人との距離感が近いって話。
スーパーで買い物中、カゴの中に野菜を入れたら、おばあちゃんが近づいてきて「そっちの大根より、こっちの方がいいよ」と勝手に大根を入れ替えてきた、とか。
ベンチに座ってると、次々に話しかけてきて、もう黙って誰かとともにいるなんてことがなかったとか。
そうそう。私自身10代の終わりに、1度だけ北九州市に行った時、何度か町ゆく人に道を聞いたんですが、100%現地まで案内してくれたんです。
なんて、なんてあったかいんだ〜!!!と感動したんで吸うよね。
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そういうのもあって「よっしゃ!九州じゃ〜!!!大分か鹿児島じゃ〜」と絞り込まれてきました。
ただそれでも、広いですよね。
大分だって、鹿児島だって、県だし。そっから市町村を選び、家を選ぶとなると、まだまだ選択と決断が必要で、そのための情報収集は、現地に行ってみないとわかりません。
これまでみたいな2泊3日の旅とかじゃわからんだろう!もう、がっつり一ヶ月くらい行って、移住先決めたろーやないかーい!と移住先を探す旅に出る話になりました。
そんな時です。
オーララ。私の妊娠がわかったんです。
さてさて、どうしましょう。
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つづきはまた、次回。